こちらでは、刷毛とローラーを使った車の塗り方について順を追って詳しくご説明します。
【はじめに】
1.用意するもの
2.マスキング
3.足付け
4.脱脂
5.下塗り
6.塗料の準備
7.塗装
8.仕上げ
9.参考動画
全工程を詳しく解説 車の刷毛塗り全塗装【動画】
足付けと脱脂の仕方【動画】
水性塗料のうすめ方のコツ【動画】
2液ウレタンの混ぜ方のコツ【動画】
ローラーハンドルとローラーカバー4インチ なるべく短毛で毛の抜けにくいものを選びます。 |
|
刷毛 50mmと40mmくらいのものが使いやすいです。 毛の抜けにくいものを選びます。 油性用のものと水性用のものがありますので注意してください。 なお、当店で取り扱いのあるものはすべて、水性、油性の両方使える多用途のものです。 |
|
マスキングテープ 幅24mm×5巻くらい用意します。 |
|
マスカー 窓ガラスやタイヤなど広い面を覆う時に使用します。 新聞紙などの不要な紙でも代用できます。 |
|
ブルーシート 車の下に敷いて汚れを防止します。 |
|
耐水ペーパー #600 #600のサンドペーパー。足付け(表面を荒らす作業)に使います。 |
|
ウエス 糸くずが出ないものが望ましいです。 |
|
脱脂用シンナー ワックスオフ ラッカーシンナーやウレタンシンナーでも代用できます。 |
|
塗料をうすめるシンナー ラッカーの場合はラッカーシンナー、2液ウレタンの場合はウレタンシンナーを使用します。 水性塗料の場合は水でもよいですが、バランサーで薄めるときれいに塗装できます。 |
|
非鉄バインダーα 無塗装の黒いプラスチックのバンパーやホイール、メッキ等の、 塗料がのりにくい非鉄部分の下塗りに使います。 |
|
下げ缶と内容器またはローラートレイ 缶の中に内容器を入れて塗料を小分けするのに使います。 内容器は基本的に使い捨てです。 |
|
手袋 手についた塗料が乾いてしまうとなかなか取れないので、 塗装時は手袋着用を推奨しています。 |
あらかじめ車体を洗浄しておきます。塗装の前日に洗浄し、塗装する時は車体が乾いている状態にします。
床、地面を汚さないようにブルーシートを敷き、その上に車を停めて作業します。
その後、窓ガラスや、窓ガラスの周りのゴムの部分、ヘッドライト、テールライト、タイヤ、ナンバープレートなどに塗料がつかないようにマスキングテープや新聞紙で覆い、簡単に外せる部品は外します。
元に戻せそうになかったり、パーツを傷つけてしまいそうな場合は、無理をせずマスキングで対応してください。
エンブレムやシール類などは不要であれば剥がし、残す場合は丁寧にマスキングをします。
※トラックなどの商用車の場合、最大積載量の表示が義務付けられています。塗装後、手書きかシールで必ず表示してください。
マスキングテープはしっかり密着させるように貼ります。
密着が甘いと、マスキングテープの隙間から塗料が滲んできれいな仕上がりになりません。
塗装の大変な部分はほとんど下準備にあります。 しっかり下準備をしましょう。
足付けとは、塗料が定着しやすくなるように、#600の耐水ペーパーで表面を荒らす作業のことです。
全体的に車の表面が曇る程度にやすりがけします。
古い塗膜を全部落とさないといけないんじゃないかと言われることがありますが、純正塗装の上から塗装することを想定して塗料をお作りしていますので、純正塗装はすべて剥がさなくても問題ありません。
ただワックス分などは落とす必要があるので、耐水ペーパーでしっかりと荒らします。
表面を荒らすと細かく凹凸ができて表面積が増え、塗料と接している面が多くなり塗料がよく引っ付くようになります。
手袋をはめてウエスに脱脂用のシンナーを含ませ、油分や足付けした際に出た削りカスを拭き取ります。
この時、毛くずのでるタオルなどを使うと、毛くずやほこりが余計に車体に付いてしまいますのでご注意ください。
脱脂用のシンナーはワックスオフを別途ご購入いただくか、ウレタンやラッカーの場合はセットのシンナーを使っていただいても問題ありません。
ワックスオフはこちら>>
足付けと脱脂の仕方 動画はこちら>>
未塗装の黒いバンパーなどの樹脂部分には非鉄バインダーαを塗ります。非鉄バインダーαは鉄以外の部分を塗る際、塗装が引っ付きやすくなる接着剤のような役割をしてくれます。
非鉄バインダーα用に刷毛やローラーを別に用意して塗ってください。容器のフタに刷毛がくっついた刷毛付き容器の販売もあります。非鉄バインダーαは薄めずに原液のまま使用します。
また、ホイールを塗る場合にも非鉄バインダーαを塗ってください。その際ブレーキダストなどをよく落としてから塗装してください。
非鉄バインダーαはこちらです。
まず塗料の容器を開けたらよくかき混ぜてください。 その後、必要量を別の容器に移してから塗料を薄めてください。
うすめ率については下の表を参考にしてください。
・水性塗料
水道水を5~15%ほど入れてかき混ぜて使います。
水性塗料専用うすめ液「バランサー」を使用すると塗装面がよりきれいに仕上がります。
バランサーは最大40%まで添加することができます。
・2液ウレタン塗料
主剤と硬化剤を4:1の割合で入れてよく混ぜます。
出来上がった塗料に対してウレタンシンナーを20〜25%入れてかき混ぜて使います。
※硬化剤を入れた塗料は8時間以内に使い切ってください。
・ラッカー塗料
ラッカー塗料に対してラッカーシンナーを80〜100%入れてかき混ぜて使います。
<簡易塗装機やスプレーガンで塗装する場合>
詳しくはこちらのページをご覧ください。
特に暑い時期に塗装する場合、塗装面がデコボコした状態(ゆず肌)や塗りムラを防ぐため、乾燥の遅い希釈剤を使用することをおすすめいたします。
水性塗料専用のうすめ液「バランサー」は、水での薄めすぎによるムラを防いだり、乾燥を遅くすることで塗り跡を防ぐ効果があります。
当店では、乾燥が早くなる夏だけでなく、年中を通してこのバランサーを使用し全塗装しています。
バランサーはこちらです。
>>バランサー
油性塗料の場合は、ラッカーあるいは2液ウレタンのシンナーに、それぞれの「リターダー」を少量(5%程度)添加すると乾燥を遅らせることができます。
塗料にはつや消し剤が多量に入っていますので、ムラをなくすためによく混ぜながら塗ります。
細かい部分は刷毛を使い、広い面はローラーを使います。
一度にたくさんの塗料をつけるとムラになりやすいので、薄く均一に「塗る→乾かす」を繰り返しながら数回重ね塗りします。
かすれててもいいので、とにかく薄く塗るのを心がけてください
もし塗料が垂れてしまったら、乾く前にローラーで伸ばしてください。
短毛ローラーとは毛が短いローラーのことです。
長い毛のローラーより何度も塗料を含ませる必要はありますが、平滑な仕上がりになります。
長い毛のローラーを使うとローラーのパターンが出てしまいます。
つや消し剤が多量に入っていますので、ムラにならないようによく混ぜながら塗ります。
イメージ的には、「かき混ぜる→塗る→ちょっと刷毛やローラーで混ぜる→塗る」というイメージです。
一度に塗料をたくさんつけるとムラになりやすいので、2回以上重ね塗りするつもりで薄く均一に塗装します。
ごしごし同じ箇所ばかり塗っても色がつきにくいので、かすれていても気にしないでください。
軽く乾かしてから再度なでるように塗ります。
それでもかすれていたら、軽く乾かしてもう一度塗ります。
特にラッカーやウレタン塗料はそもそも刷毛塗りには向かない、超速乾性の塗料ですので「薄く何度も」を心がけましょう。