刷毛塗全塗装タカラ塗料デモカー制作完全レポート!
もともとニーズの高かった車への全塗装ですが、従来の塗り方ではコンプレッサーやガンを用意したり、周囲への飛散を注意しなくてはいけなかったりと気軽に行えるものではありませんでした。
刷毛やローラーで塗ってしまえれば簡単ですが、車のパネルはとても平滑にできていまして、艶あり塗料で塗るといかにも「塗った!」という刷毛ムラやローラームラが目立ってしまいます。
ですがつや消しで塗るといい感じにムラが目立たなくなるので、ガソリンに強く車に適した3種のつや消し塗料をおすすめのオリジナルカラーで販売しております。
その刷毛塗り全塗装のデモカーとして使っておりますハイゼットカーゴを作った過程をご紹介させていただこうと思います。
制作の経緯
「塗料屋の車が白いままなのはおかしい!」と考え、また刷毛塗り全塗装を思いついてから「絶対に自社の車も塗り替えなくては!」と制作を実行しました。
上記写真を見ていただくとわかるのですが(間違い探しのようですが)下記のメニューで塗り替えていきます。
・アクリルラッカーで塗る
・上部と下部を
グレイッシュダークグリーンで塗る
・真ん中は
オリーブカーキ
・車内は
サンドカーキ
・ホイールは
ラストカラー
・顔とサイドステップとバンパーは純正からキャルステージ社製フレンチバス仕様に交換
・ビニールのシートカバーを革調にエイジング塗装
以上になります。
色の決定について
当店は色を作るのは得意なのですが、色を決定するとなると無限に作れる分悩んでしまいます。
ですので思い切ってデザイナーさんに丸投げして塗り分けを決定いたしました。
これをもとに実際に塗料を作って板に塗り、車にあてがってみて色を決めるというぜいたくな方法を取りました。
フレンチバスキットについて
フレンチバスのキットはキャルステージさんから購入。
すごく高いといえば高い買い物でしたが、実際につけて数年、やはり目立ち度が高くて大満足でした。
この黒い色はゲルコート仕上げと言って、プラスチックそのものの色になります。
大きな型があり、そこから抜いてこれが出来上がるのですが、細かいエッジの部分などが欠けたりしてパテを盛ったり修正が必要そうなところもありました。
しかし刷毛塗り全塗装するのにあたり気にならなさそうだったので今回は修正はしませんでした。
フレンチバスキットの取り付けについて
刷毛塗り全塗装にあまり関係ありませんが気が付いた点を書いておきます。
正直な感想としては素人が取り付けるのは難しかったです。
説明書もあるのですが、説明のない部品があったり、素人にはとてもわかりずらかったです。
都度ネットで検索したりしてトライアンドエラーで試したり、加工したりする個所が多かったです。
一応困った点を思い出せるだけ箇条書きにしておきますね。(この件についてのご質問は勘弁してください・・)
・ボディ側の大幅な加工が必要だった
・ボンネットのキャッチ部分が合わず、車両側キット側両方加工しなくてはいけなかった
・ウインカー位置の穴を開けなくてはいけなかった
・ウインカーがLEDになり交換用リレーが入っていたのですが、説明書きがなくて何の部品かわからず困ってしまった・・
などなど。
もしやろう!と思われる方はスケジュールに余裕をもって進めましょう。
足付け
600番程度のペーパーで足付け(研磨)していきます。
コツとしては少し曇る程度で大丈夫です。上記写真は黒のゲルコートが白っぽくなるまで磨いた写真です。
これよりもう少し軽めでも大丈夫です。
これをすることで車体についているワックス分を除去することができます。
ちなみに純正塗装を全部取らないと全塗装できない!と思われる方もいらっしゃいますが、純正塗装とこれから塗る塗料がよく引っ付けば問題ないのです。
純正塗装を剥がしたほうがいい場合は下記のケースです。
・純正塗装が錆などで剥がれかけている
・レース車両などで少しでも軽量化したい場合
・純正塗装ではない何かの塗装がされていて、上塗りしたときにふくれたりめくれたりする
などなど。
純正塗装が劣化してぼろぼろになってきている場合は全部剥がさなくてもいいですが、塗装の膜の境目を触ってみて段が感じられたら平らになるぐらい研磨はしてください。
お客様のカローラフィールダーの例。赤は特にトラブルが多いようです。
脱脂
今回はラッカーシンナーを布につけて車全体を拭きました。
ラッカーシンナー以外でもシンナー類(ペイントうすめ液)や、
ワックスオフも用意しております。
またシンナー類を使わなくても、台所用洗剤で洗車してもOKです。
ただ車用のシャンプーを使うとWAX分が入っている場合があるので注意。
下地剤を塗る
プラスチック類は塗料が引っ付きにくいので、下地剤を塗ります。
当店のおすすめは
非鉄バインダーαです。
ちなみにFRPパーツは塗料がまだ引っ付きやすいので、下地剤を塗らなくても結構引っ付いたりします。
右上が非鉄バインダーα後のホイール。ホイールも錆びないようにメッキされていたりするので、塗っておいたほうがいいです。
塗装する
塗装は塗りにくいところは刷毛で、広い面積はローラーで塗っていきます。
刷毛は毛の抜けないもの、ローラーも毛が抜けにくく、かつ短毛のものを使います。
塗り方のコツとしては少し薄めすぎぐらいに薄め、薄くかすれるように塗っていきます。
乾燥後にまた薄くかすれるように(なでるように)重ねていきます。
あまりごしごしと同じ個所を何度も塗ると前に塗った塗料が溶けてはがれてしまいます。
何度も乾かすようにします。
色が付きだすとしっかりとしてきます。
もし艶ムラなどが出る場合は、よくかき混ぜてもう一度薄めの塗料で表面をなでるように塗ると艶がそろいやすいです。
ツートンカラーの場合
初めての刷毛塗り全塗装だというのに、デモカーでは色気を出してツートンにしてしまっています。
ラインを決めるときに何か目安はあるのかと思っていたのですが、思いのほか思い切りよくテープを貼っていったほうがよさそうです。
またマスキングテープを貼っていく際は大体2時間以上は乾かしたほうが無難です。
車内の塗装
外装は実はそんなに難しくなく、実は車内やドア内のほうが手間がかかります。
外装がかっこよく塗りあがっても、いざ乗るときに白い部分があるとがっかりしてしまいます。
実はこの車内の作業だけでちまちま1か月ぐらいかかってしまいました。
完成後のメンテナンス
塗装が終わった後のメンテナンスは、ラッカーの場合は洗車機に入れても大丈夫です。
ただWAX洗車をしてしまうと変な艶が出てしまうかもしれないので要注意です。
また2年ぐらいたったら色が褪せてきますので、もう一度軽く全塗装すれば復活します。
ちなみに当店のデモカーはほとんど洗車をしたことがありません。
もともと艶がないので汚れても気になりません。
こちらのページをご覧になって塗装を考えていらっしゃる方は、ぜひ一度ご検討くださいませ。
刷毛塗り全塗装の塗料の誕生秘話は
こちらからご覧いただけます。
当店デモカー塗り替えの歴史
当店のデモカーはスタッフ一同で、刷毛とローラーを使って全塗装しております。
それぞれの画像クリックで、詳細をご覧いただけます。
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