刷毛塗全塗装の際のサーフェーサー(プラサフ)について
車の塗装には「絶対下塗りはサーフェーサー!」という、固定概念を持った方も多くいらっしゃるようですが、刷毛塗全塗装に関しては絶対ではありません。
お電話やメールでもお問い合わせが多く、迷われる方も多いので詳しく書かせていただきます。
サーフェーサーとはどういう塗料?
まずサーフェーサーとはどういう塗料かといいますと、樹脂の中にたくさんの粉(体質顔料)を入れたものになります。
体質顔料とはサーフェーサーの場合、主にタルクと言われる石の粉です。
何のためにその石の粉が入っているかといいますと、乾燥後に研磨しやすいため、また下地を隠す(隠蔽する)ためです。
プライマーとしての効果は?
プラサフ=プライマーサーフェーサーという意味ですが、プライマーの効果はやや低いです。
よく「プラサフ塗らないとはがれる」といいますが、大体の塗膜ははがれるときはプラサフごとはがれています。
つまりプラサフとその後に塗る上塗りの塗料とはよく引っ付いていますが、下地とはそんなに引っ付いていないのです。
また「プラサフ塗って錆止める」とも言いますが、プラサフには錆を止める力はありません。
プラサフを塗ることで塗料が厚めになり、その分、水分が入ることを抑えることはできますが、錆そのものを止めるわけではないのです。
ちなみに建築、工業、重防食、どの分野でもサーフェーサー(プラサフ)を錆止めとして使うことはありません。
あくまで、研磨と隠蔽に特化した塗料なのです。
よくあるシーンごとの解説
1、純正塗装の上から塗る場合
純正塗膜は焼き付け塗装の膜ですごく硬い膜です。
硬くて他の塗料が引っ付きにくいのですが、ペーパーで足付けをすると物理的な表面積が増えてしっかりと別の塗料が引っ付くようになります。
ですのでよく塗料を引っ付けるという意味では、下地塗料は不要になります。
2、パテ跡や金属部分の露出がある場合
吹き付ける場合は、吹き付ける塗料の膜が薄いためパテがシンナー分を吸ってしまい、そこだけムラができるということがあります。
しかし刷毛塗全塗装の場合はローラーなどで塗りつける塗料の膜が厚いので、そこまで気になることはありません。
またピンホール(小さな穴)も同じで、ローラーでの塗装ではその穴も埋まりやすいです。
3、古い塗料のクリアの膜がはがれている、またはところどころはがれて下地が出ている場合
はがれが起きている部分と起きていない部分との段差は、塗装前に段がなだらかになるまで研磨すれば問題ありません。
プラサフは基本的に吹き付けの場合に、細かい穴も凹凸も許さない、きれいな塗装面を目指すときに使うものです。
刷毛塗全塗装の場合、刷毛跡やローラーパターンで細かい凹凸が全体にできますので、凹凸は気にならなくなります。
またつや消しの塗料なので、多少凹凸があっても目立たなくなります。
刷毛塗全塗装でプラサフが必要な場合
1、あまりにパテに細かい「す」(ピンホール)が多い場合
2、下地の色が黒などの濃い色で、上塗りに黄色や赤など透けやすい色を塗る場合
ぐらいでしょうか。
とにかく、プラサフは絶対!ではありません。
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