【車のDIY全塗装 失敗例①】ムラができる原因とやり直しの方法

タカラ塗料の車用塗料で、刷毛とローラーでDIY全塗装されたお客様から、時折「塗装に失敗してしまった」というお声をいただくことがあります。

刷毛とローラーでのDIY全塗装で「失敗」と感じる理由は、ほとんどの場合以下の2つです。

  1. 塗装がムラになってしまった
  2. 塗料のタレ跡が残ってしまった

今回は「ムラ」について、原因と対処法をご案内します。

「タレ跡」についてはこちらをご覧ください。

塗装のムラ 原因①:塗り重ね回数の不足

塗装の薄い部分と濃い部分が混在して、均一に見えない状態を「ムラ」と表現しますね。
タカラ塗料では、車を刷毛とローラーで全塗装する際の目安として、「2〜3回うすく重ね塗りする」とご案内していますが、2〜3回重ね塗りしてもムラになることは往々にしてあります。
これは、塗料の薄め方や、特に使用する色によって変わってきます。

一般的に明るく鮮やかな色は透けやすいと言われていますが、当店のオリジナルカラーの中で透けやすいのは、以下の3色。

左から マットホワイト/ドライドプラムレッド/パンプキンスープ です。
画像を見ていただくとわかる通り、4〜5回重ね塗りしてもまだ下地が透けてムラがある状態なので、6回、7回と重ね塗りする必要があります。

下地の色が完全に隠れている=ムラがない状態」ですが、下地の色が何色なのかも影響します。
シルバーボディから鮮やかな黄色で塗り替えたお客様は、7回重ね塗りしたとおっしゃっていましたし、赤い車を赤色で全塗装したから3回塗りで済んだというお客様もいらっしゃいました。

シルバーから黄色への塗り替え 7回重ね塗り
赤から赤へ塗り替え 3回重ね塗り

このように、「ケースバイケース」と言うしかないので、最低でも2~3回重ね塗りする、それでもムラを感じるようであればさらに塗り重ねるということを意識していただければと思います。

ムラをなくすためにはとにかく「うすく重ね塗り」すること。塗り重ねれば必ずムラはなくなります。

暗い場所ではムラに気づきにくい

均一な色に見えるまで塗り重ねてくださいとは言ったものの、塗装時にそもそもムラに気づかない場合もあります。

朝から作業を始めて、塗装が終わる頃には日が暮れているということがほとんどだと思いますが、実はここが盲点。

陽が落ちかけている薄暮の時間帯や、屋内作業であっても蛍光灯下で十分な明るさがなかったり陰になる部分がある場合、ほとんどが「きれいに塗れているように」見えてしまいます。

室内だけで見るとムラに気づかない場合も多い

「完成した!」と思ってマスキングを剥がし、写真を撮って満足感のまま眠りにつく。ところが翌朝ワクワクしながら愛車を見ると、ムラが残っていて「失敗した…」と肩を落としてしまう。そんなケースは少なくないように思います。

当店の社内研修で車を全塗装する際も同じで、全塗装した車を外に出して確認すると、まだムラが残っているということはよくあります。

ですので重要なのは、しっかり乾かしたうえで、太陽光の下で少し離れて確認することです。
まだムラを感じるようであれば、その部分だけでももう一度重ね塗りしましょう。そうすれば「ムラになって失敗した」という結果にはならないはずです。

塗装のムラ 原因②:塗料の薄めすぎ

もう一つの原因は、塗料を薄めすぎてしまうこと。
水性塗料なら塗料に対して5%の水で薄めるのが基本ですが、それ以上に薄めると、下の画像のように「塗りムラ」ができてしまいます。

水性塗料を水で薄めすぎたことで起こるムラ

タカラ塗料では、刷毛とローラーでの全塗装をきれいに仕上げるコツとして、「薄くかすれるように塗る」ことをご案内しています。
そのため、トロっとしている塗料をできるだけシャバシャバにしようと、ついつい水で薄めすぎてしまうお気持ちもよく分かります。
しかし実際には、それが原因でムラができ、結果的に失敗につながってしまいます。

そこで解決策として、水性塗料の場合は「バランサー」という乾燥遅延剤で薄める方法があります。
バランサーは水性塗料に対して最大40%まで加えることができ、水で5%薄めるよりもさらさらの状態に調整できます。
そのため、「薄くかすれるように塗る」ことが可能です。

さらに乾燥がゆっくり進むので、よりムラのない均一な仕上がりにつながります。

バランサーを使うとムラはできない

水性塗料を水で薄めすぎたことによってムラが出てしまった場合は、乾燥遅延剤で塗料を薄めて塗り直してみてください。
お客様からも「バランサーを使って塗り直したらすごく綺麗になった!」というお声をいただいていますし、当店の社内研修で車を全塗装する際は必ずバランサーを使用しています。

まとめ

車の全塗装で「失敗した」と感じる理由の一つ、ムラ
そのまま完成としてしまえば確かに「失敗」ですが、やり直しは可能です。

ムラが出てしまったら、なくなるまで重ね塗りをする。それだけで仕上がりは見違えるように良くなります。

次回は、もう一つの失敗例「タレ跡」についてお話しします。

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