お客様からいただくお問い合わせの一つに、
「刷毛とローラーでの車の全塗装の下地に、ミッチャクロンを使用してもよいですか?」というものがあります。
結論を申し上げると、当店の車用塗料を使用した全塗装では「使用しないでください」とお伝えしています。
ミッチャクロンを塗ると金属面に塗料がよく密着するため、車体全体をやすりがけしなくて済むと思われる方も多いようですが、当店ではおすすめしていません。
では、なぜ車の全塗装でミッチャクロンを使用してほしくないのか、その理由を解説します。
ミッチャクロンとは?
「ミッチャクロン」とは、染めQテクノロジィが製造・販売するプライマー(下塗り剤)です。
金属や樹脂、ガラスなど、密着性の低いさまざまな素材に対して強力な密着力を発揮します。
ペーパー研ぎが不要で作業時間を短縮できることから、幅広く活用されている商品です。
< 以下製品カタログより >
密着の悪い亜鉛メッキ、アルミ、ステンレスなどの金属、プラスチックなどの樹脂面やガラス、クロムメッキ、焼付塗装面など、多種多様な素材に対しペーパー研ぎが不要で、強力な密着力が得られます。
また、鉛やクロムなどの有害重金属を一切使用していない安全性の高いプライマーです。
【特長】
- 多種多様な素材に使用可能(PPにも対応)
- ペーパー研ぎが不要で、作業工程の短縮が可能(一部を除く)
- 原液のまま使用できる一液タイプ
- ホルムアルデヒド放散等級F☆☆☆☆適合・RoHS2対応品
- 上塗り塗装も幅広く対応し、塗装機器を選ばず実用的
- 鉛やクロムなど 有害重金属類は一切不使用
- 黄変無し(上塗りにクリヤー塗装可)
このように、ミッチャクロンは「やすりがけ不要で作業がラク」だったり、「いろいろな素材に使える」ことから、多くの方に愛用されているようです。
車の全塗装でミッチャクロンは必要?
ミッチャクロンは塗料の密着性が高い下塗り剤ですが、車の全塗装に使う場合には注意が必要です。
車の塗装面にはワックスやコーティングが施されていることが多く、そのままミッチャクロンを塗っても十分に密着しません。
ワックスや油分、汚れなどを取り除くためには、「足付け(やすりがけ)」が必須です。
600番程度のサンドペーパーでしっかりやすりがけすると、表面の油分やコーティングを落とすことができ、塗料がよく密着します。

しっかり足付けを行えば、そもそもミッチャクロンは必要ありません。
それでも、念のためミッチャクロンを塗っておきたいというのは個人の自由ですが、以下のリスクがあります。
ミッチャクロンはガソリンに弱い
ミッチャクロンを下塗りした後に水性塗料で全塗装したお客様から、
「ガソリンがかかった部分がシワになってしまった」という報告がありました。
これは、当店の車用水性塗料自体はガソリンに耐えられる性能を持っていますが、ミッチャクロンは耐性がないために起こる現象です。
ガソリンがかかった際、水性塗料の塗膜に若干ガソリンが染み込んでしまいます。
水性塗料だけでは問題ないのですが、染み込んだガソリンがミッチャクロンの層に到達することで、表面が溶けて縮み、塗膜がシワになり、ボロボロになってしまうのです。

当店で検証したところ、ラッカーや2液ウレタンでも同様の現象が起こりました。
ですので、ガソリンがかかる可能性がある車やバイクの塗装には、ミッチャクロンを使用しないことをおすすめします。
当店おすすめの下地剤 非鉄バインダーα
当店では、ミッチャクロンと同じような使い方ができる下塗り剤として「非鉄バインダーα」をおすすめしています。
非鉄バインダーαはガソリンがかかっても問題ありません。
塗装されていないバンパーやメッキ部分、プラスチックパーツなどを塗装する際には、非鉄バインダーαをご使用ください。

ミッチャクロンと車の全塗装の相性について、ご理解いただけたでしょうか?
当店がおすすめする刷毛とローラーを使った全塗装方法については、以下のページにて詳しくご紹介しています。ぜひ参考になさってください。
▼刷毛とローラーでの車の「塗り方」はこちら
https://brush-carpaint.com/?mode=f1